チャレンジした経緯

これまで当社が管理してきたオフィスは、安全性や業務継続性に優れた高性能なビルでした。しかし、役職員の心身の健康や快適さ、仕事の充実感に十分配慮できていたかという点に明確な基準がないことに課題を感じていました。

そこで、オフィスで働く方々の健康と満足度を重視し、世界基準の認証制度であるWELL認証に挑戦しました。この認証取得は、オフィス環境を客観的に見直し、質の高い空間を提供するための貴重な機会となりました。

プロセスを通じて、建物や働く環境が従業員の体験やパフォーマンスに与える影響を深く理解し、素材やエネルギー効率、温度・湿度、自然光、空気質の改善など多方面からのアプローチを検討しました。これにより、持続可能で心地よいオフィス環境を実現し、従業員の健康や幸福感の向上を目指しています。
この認証取得は単なる評価ではなく、新たな学びやノウハウを得る機会であり、役職員の働きやすさと満足度を向上させる取り組みを展開する基盤を築くことを目指しています。

厳しい基準を満たすための様々な施策

オフィス環境の快適性向上とチームパフォーマンスの改善を目指し、コミュニケーションが活発に取れる空間を整備しました。働き方に応じて最適な場所を選べる多様性豊かな環境を実現するため、フリーアドレスの要素を残しつつグループアドレスを採用。社員は自由に席を選べる一方で、自然な会話が生まれる仕組みを構築しています。

空気質や温湿度は325㎡ごとに測定し、リアルタイムでモニタリング可能な仕組みを導入。音環境にはサウンドマスキング技術を活用し、快適な空間を提供しています。また、什器や建物の材質はWELL認証基準に基づき厳選しました。

屋内の自然へのアクセスを重視し、ワークスペースの75%以上のエリアから植物などが目に入るようレイアウトを工夫。ウォーターサーバーをどの座席からも利用しやすい場所に設置し、社員が良質な水をいつでも利用できる環境を整備しています。
さらに、昇降デスクを全席の25%以上に設置し、心地よい姿勢での勤務を促進。タスク照明やモバイルファンなど、個々のニーズに応じた調整が可能な工夫も取り入れました。

世界一困難な認証取得に向けて

WELL認証の取得に向けては、空気や水の質、自然へのアクセス、運動の機会など、オフィスで働く社員の健康や快適さに関わる多岐にわたる評価項目に基づき、基準を満たす証拠を揃える必要がありました。このデータを収集し、整理する作業は非常に大変でしたが、その過程で、当社がすでに多くの基準を満たしていることを再確認する機会にもなりました。

例えば、当社では以前から、社員が快適に働ける環境づくりに取り組んでおり、以下のような施策を実施してきました。昇降デスクの導入やブランケット、モバイルファンの貸出に加え、植物などの自然要素が目に入るようなレイアウトの工夫、ウォーターサーバーの整備、そしてより良い水質・空気質の提供など、社員の健康と快適さを重視した環境を整備してきました。これらの施策は、WELL認証の基準にも合致しており、社員からも高い評価を得ています。

これらの取り組みを通じて、私たちのオフィス環境がすでに健康やウェルビーイングを重視した設計になっていることを証明する結果となりました。

最高ランクの認証を受けたその後

WELL認証を取得するためには、単にオフィスの環境を改善するだけでは不十分です。SDGsの観点や働きやすい社内制度や福利厚生の面でも評価され、社員にとって真に働きやすい職場であることが世界基準で認められる必要があります。

今回のプロジェクトでは、フリーアドレスの中でもチームメンバーが一緒に座れる「グループアドレス制」の導入や「座席管理」、「会議室予約の改善」など、オフィス運用面での改革にもチャレンジしました。

また日々、NRIグループのオフィスの皆様が健康で安心安全、快適に過ごせるオフィスを提供すべく日々試行錯誤し続けています。